「また食べてしまった…」「なんで止められないんだろう」
冷蔵庫の前で自分を責めたこと、ありませんか?
実は、感情食い(エモーショナルイーティング)に悩む人は、日本人女性の約6割以上と言われています。あなただけじゃないんです。そして、何より知ってほしいのは、感情食いは「意志が弱いから」起こるものじゃないということ。
こんにちは、理学療法士の富永康太です。食欲コントロールダイエット協会の代表理事として、これまで多くの方の「食べたい衝動が止められない」悩みに向き合ってきました。
この記事では、感情食い・過食について「なぜ起こるのか」「どう対処すればいいのか」を、脳科学・心理学の観点から徹底的にまとめました。いわば感情食いの教科書です。
長い記事ですが、読み終わる頃には「だから私は食べてしまっていたのか」と腑に落ちて、自分を責める気持ちがきっと軽くなっているはずです。
目次から気になるところだけ読んでもOKですよ。
この記事でわかること
- 感情食い・過食の正体(意志力ではなく脳の仕組み)
- ドーパミン・愛着理論から見る3つの原因
- 愛着タイプ別の対処法(不安型・回避型・恐れ回避型)
- 今日からできる具体的な5つの習慣
- よくある質問への回答
第1章:感情食いとは何か? ── それは「心のSOS」です
感情食いの定義:お腹が空いてないのに食べてしまうこと
まず「感情食い」の意味をはっきりさせましょう。
感情食い(エモーショナルイーティング)とは、身体的な空腹ではなく、感情を埋めるために食べる行為のことです。
お腹が「ぐ〜」と鳴って食べるのは生理的な食欲。これは正常な反応です。一方、こんな経験はありませんか?
- 仕事で嫌なことがあった日、帰宅してすぐにお菓子に手が伸びる
- 寂しい夜、なんとなくコンビニでスイーツを買ってしまう
- 不安な気持ちを感じると、とにかく何か口に入れたくなる
- 退屈な時間、特にお腹が空いてないのにダラダラ食べ続ける
これらはすべて「感情的食欲」です。食べ物が欲しいんじゃなくて、心が満たされたいんです。
ここで一番大切なことを言いますね。
感情食いは、あなたの意志が弱いから起こるのではありません。
心理学・脳科学的に見ると、感情食いは心理・脳・ホルモンが複雑に絡み合って起こる現象です。「根性が足りない」「やる気がない」なんて話じゃない。むしろ、あなたの脳が必死に自分を守ろうとしている反応なんです。
詳しい原因は感情食いが止まらない本当の理由でも解説していますが、ここではさらに深く掘り下げていきますね。
「身体的な空腹」と「感情的な食欲」の見分け方
まず、自分の食欲がどちらなのかを知ることが大事です。
身体的な空腹
- じわじわとやってくる
- 何でもいいから食べたい
- 食べたら満足する
- 食後に罪悪感がない
- お腹がぐ〜っと鳴る
感情的な食欲
- 突然やってくる
- 特定のもの(甘い物・ジャンクフード)を欲しがる
- 食べても満足しない(もっと欲しくなる)
- 食後に罪悪感・自己嫌悪がある
- 口が寂しい感覚
感情的な食欲の最大の特徴は、食べた後に罪悪感が残ること。「また食べちゃった…」というあの感覚ですね。
この「食べた後の自己嫌悪」については食べた後の自己嫌悪をやめたいという記事でも詳しく書いています。
過食は「代償行為」── 自分を責めないで
ここで理学療法士としてはっきり伝えたいことがあります。
過食は「代償行為」です。意志の弱さではありません。
代償行為とは、心が本当に求めているものが手に入らないとき、別のもので埋め合わせようとする行為のこと。
本当は「安心したい」「つながりが欲しい」「認められたい」。でも、それがすぐには叶わないから、脳は手っ取り早く快楽を感じられる「食べ物」で代用するんです。
だから、過食をしてしまう自分を責める必要なんてない。あなたの心は「助けて」とサインを出しているだけなんですから。
お腹がいっぱいなのに食べたくなる心理について詳しく知りたい方はお腹いっぱいなのに食べたくなるのはなぜ?満腹感がない心理とダイエットの深い関係もあわせてどうぞ。
第2章:感情食いの3つの原因 ── ドーパミン・愛着理論・感情処理の問題
ここからが本題です。「なぜ感情食いが起こるのか」を3つの角度から解説します。この仕組みを理解するだけで、自分への見方が大きく変わりますよ。
原因①:ドーパミンと食欲の深い関係
ドーパミンは、脳内で「快楽」を感じさせる神経伝達物質です。美味しいものを食べた時、褒められた時、楽しいことをした時に分泌されます。簡単に言うと「気持ちいい!」を感じさせてくれる脳の物質ですね。
で、ここが大事なポイント。
日常生活でストレス・孤独・不安・退屈といった不快な感情を感じると、脳はそれをなんとかしたくてドーパミンを求めます。
「なにか気持ちいいことで、この不快感をごまかしたい!」
そのとき、一番手っ取り早くドーパミンを出してくれるのが、甘いもの・脂っこいもの・炭水化物。コンビニスイーツやポテチが「やめられない」のは、これが理由なんです。
つまり、感情食いの正体は──
不快な感情 → ドーパミン不足 → 食べ物でドーパミンを補充 → 一時的に楽になる → でもすぐまた不快感が戻る → また食べる
このループです。意志力の問題じゃなくて、脳の報酬系が自動的に動いているだけ。
しかも困ったことに、このループを繰り返すと脳がドーパミンに慣れてしまい(耐性ができる)、同じ量では満足できなくなる。結果、食べる量がどんどん増えていく。
これは薬物依存と同じメカニズムです(怖がらなくて大丈夫。仕組みが同じだけで、食べ物の場合はちゃんと抜け出せます)。
「なぜ食べても食べても満たされないのか」の詳しいメカニズムは、食べたい気持ちが抑えられない本当の心理とは?でも解説しています。
原因②:愛着理論 ── 幼少期の経験が「食べ方」を決めている
2つ目の原因はちょっと意外かもしれません。愛着理論です。
愛着理論とは、心理学者ジョン・ボウルビィが提唱したもので、ざっくり言うと「幼少期に親とどんな関係を築いたかで、大人になってからの人間関係や感情の処理方法が決まる」という理論です。
「え?ダイエットと幼少期って関係あるの?」と思いますよね。
めちゃくちゃ関係あります。
愛着のタイプは大きく分けて以下の4つ。それぞれの食行動パターンを見てください。
安定型
幼少期に十分な愛情を受け、「自分は大丈夫」という感覚がベースにある。ストレスを感じても食べ物以外の方法(人に話す、趣味、休息)で対処できる。食欲が自然にコントロールされている状態です。
不安型(不安-とらわれ型)
「見捨てられるんじゃないか」「嫌われるんじゃないか」という不安が強い。寂しさ・不安を食べ物で埋める傾向がある。一人の夜にドカ食いしてしまう人は、このタイプに当てはまることが多いです。
寂しさと過食の関係については寂しくて食べてしまう…やめたい人へや寂しいと食べ過ぎてしまう人が知るべき心のメカニズムで詳しく書いています。
回避型(回避-拒絶型)
感情を感じることを避ける傾向がある。食事を「作業」として扱い、栄養素やカロリーだけで判断しがち。極端な食事制限をしてしまい、その反動で過食するパターンに陥りやすい。
恐れ回避型(混乱型)
不安型と回避型の両方の特徴を持つ。「食べたい」と「食べちゃダメ」の間で激しく揺れ動く。制限と過食を繰り返す、もっともつらいパターンです。
ここで大事なことをお伝えしますね。
愛着タイプは、大人になってからでも変えられます。
心理学では「獲得的安定型」と呼ばれていて、適切なケアや自己理解を通じて、不安定な愛着パターンから安定型に移行できることが分かっています。つまり、幼少期の傷は癒せるんです。
原因③:感情処理の問題 ── 感情を「感じる力」が弱っている
3つ目の原因は、感情を適切に処理できないこと。
理学療法士として身体と心のつながりを日々感じていますが、現代人は感情を「感じる」ことがとても苦手になっています。
これはポリヴェーガル理論(自律神経の3段階理論)で説明できます。ちょっと専門的ですが、かみ砕いて説明しますね。
私たちの自律神経には3つの状態があります:
- 安全モード(腹側迷走神経):リラックスして人とつながれる状態。食欲も自然にコントロールされる
- 闘争・逃走モード(交感神経):ストレスで戦うか逃げるか。イライラ食い・衝動的な食欲
- シャットダウンモード(背側迷走神経):もう限界でフリーズ。無感覚になり、ボーッと食べ続ける「ゾーン食い」
ストレスが慢性化すると、脳は感情を感じること自体を避けるようになります。怒り・悲しみ・不安を「なかったこと」にしようとする。
でも、感情は消えないんです。行き場のなくなった感情が食欲という形で表面に出てくる。
「なぜか食欲が止まらない」「何を食べても満たされない」という時、実は感情が処理されずに溜まっていることがほとんどです。
ストレスと食欲の関係についてはストレスで食欲が満たされないのはなぜ?でも詳しく解説しています。
第3章:愛着タイプ別・感情食いの対処法
原因が分かったところで、ここからは具体的な対処法です。
愛着タイプによって感情食いのパターンが違うので、あなたに合った対処法を見つけてくださいね。「全部やらなきゃ」と思わなくて大丈夫です。自分に当てはまるところだけ読んでもOKですよ。
不安型タイプの対処法 ── 「寂しさ」との向き合い方
不安型の感情食いの特徴:
- 一人でいると食べてしまう
- SNSで幸せそうな投稿を見た後にドカ食い
- 誰かと会った後、帰宅してから過食する
- 「嫌われたかも」と不安になると食べ物に手が伸びる
不安型の食欲の根っこは「寂しさ」「つながりへの渇望」です。食べ物が「一番身近で裏切らない存在」になっているんですよね。
対処法:
1. 「寂しい」を認める練習
食べたくなった時、まず立ち止まって「今、寂しいのかな?」と自分に聞いてみてください。感情に名前をつけるだけで、脳の扁桃体(不安や恐怖を司る部位)の活動が低下することが研究で分かっています。
2. 人とのつながりを「ちょっとだけ」作る
いきなり深い関係を作ろうとしなくてOK。コンビニの店員さんに「ありがとう」を言う、オンラインコミュニティに参加する、友人にLINEを送る。小さなつながりの積み重ねが、食べ物に頼る必要を減らしていきます。
3. 「今ここ」に安全を感じる
不安型は「未来の不安」に囚われやすい。両足が地面についている感覚、息を吸って吐く感覚に意識を向けるグラウンディングを試してみてください。「今、この瞬間は安全」と感じられるだけで、食欲はかなり落ち着きます。
寂しさからくる過食への対処法は寂しくて過食が止まらない…その心理メカニズムと3つの対処法で、さらに詳しく紹介しています。
回避型タイプの対処法 ── 「感じないようにする」パターンをゆるめる
回避型の感情食いの特徴:
- 完璧な食事管理をしようとして反動で過食
- カロリー計算・糖質管理を徹底するが、ある日突然「もういいや」と爆食い
- 「食べること=弱さ」と感じて、食欲を抑えつけようとする
- 感情を感じること自体を避ける
回避型の人は、よく「完璧主義」と言われます。カロリー計算や糖質制限を厳密にやろうとするんですよね。
でも、ここではっきり言わせてください。
カロリー計算は、むしろ食欲をバグらせます。
数字で食べ物を管理しようとすると、身体の「お腹空いた」「もう十分」というサインが聞こえなくなるんです。結果、脳は「足りない!」とパニックを起こし、過食衝動が爆発する。
同様に、16時間断食や極端な糖質制限も不要です。むしろ、これらは代謝を低下させ、過食を招くリスクが高い。
対処法:
1. 「完璧じゃなくていい」を体感する
回避型の人は頭では分かっていても体感として腑に落ちていないことが多い。まずは1日1回「まぁいっか」と声に出してみてください。脳は声に出した言葉を「自分の意見」として受け取ります。
2. カロリー計算をやめる
怖いかもしれません。でも、カロリー計算をやめて身体の声に従って食べた方が、長期的には食欲が安定します。最初の1〜2週間は不安になるかもしれませんが、身体は自分で調整する力を持っています。
3. 感情を「少しだけ」感じる練習
いきなり全部の感情を感じる必要はありません。1日の終わりに「今日、嬉しかったこと・嫌だったことを1つずつ」書き出すだけでOK。感情を感じる筋肉を少しずつ鍛えるイメージです。
完璧主義とストレス食いの関係はストレス食いが止まらない完璧主義者へで深掘りしています。
恐れ回避型タイプの対処法 ── 「制限と過食」の波を穏やかにする
恐れ回避型の感情食いの特徴:
- 「食べたい」と「食べちゃダメ」の間で常に葛藤
- 数日間の厳しい制限 → 爆発的な過食 → 激しい自己嫌悪のサイクル
- 食べ物との関係が常に「戦い」
- 「自分は何をやってもダメ」という絶望感
恐れ回避型は、不安型と回避型の両方の特徴を併せ持つため、もっともつらいパターンです。
「食べたい衝動」と「食べちゃダメという制限」が交互に襲ってくる。波が激しいんですよね。
対処法:
1. まず「波があること」を受け入れる
過食の波は、なくそうとすると逆に大きくなります。「今、波が来てるな」と観察者の視点を持つだけで、波は少しずつ小さくなっていきます。これはマインドフルネスの基本です。
2. 「食べちゃダメ」を手放す
逆説的ですが、「食べてもいい」と自分に許可を出すと、過食は減ります。「ダメ」と禁止されると、脳はそれをさらに求めるようになる(これを「皮肉なリバウンド効果」と言います)。「食べてもいいけど、本当に食べたいか聞いてみよう」くらいのスタンスでOK。
3. 自己嫌悪のループを断つ
過食 → 自己嫌悪 → さらに過食。このループが一番つらい。自己嫌悪が次の過食を呼んでいるんです。このループの断ち方は次の章で詳しく説明しますね。
過食と自己嫌悪の関係は食べ過ぎで自己嫌悪に陥るあなたへでも詳しく書いています。
第4章:感情食いを根本から変える ── 今日からできる5つの習慣
ここまで読んで「じゃあ、具体的に何をすればいいの?」と思いますよね。
ここでは、今日からすぐにできる5つの習慣を紹介します。全部いっぺんにやろうとしなくていいです。1つだけ選んで、1週間続けてみてください。それだけで変化が始まります。
習慣①:セルフコンパッション ── 自分に優しくする練習
「また食べてしまった…」と自分を責めること。これが実は過食を悪化させている最大の原因です。
自己否定 → 不快な感情が生まれる → ドーパミンで埋めようとする → 過食 → さらに自己否定
この悪循環を断つ鍵がセルフコンパッション(自己受容)です。
セルフコンパッションとは、簡単に言うと「自分に対して、親友に接するように優しくする」こと。
過食してしまった自分を責めるのではなく、「つらかったんだね」「よくここまで頑張ってきたね」と自分に声をかける。
「甘やかしじゃないの?」と思うかもしれません。でも、研究ではセルフコンパッションが高い人ほど、過食が少ないことが分かっています。自分を責めるよりも、自分を受け入れた方が食欲は安定するんです。
具体的なやり方:
- 過食してしまった時、手を胸に当てる
- 「つらかったね。大丈夫だよ」と小さな声で自分に言う
- 「完璧じゃなくていい。これも自分」と認める
最初は違和感があるかもしれません。でも、続けるうちに自分への接し方が変わってきます。自己肯定感と食欲の関係については自己肯定感が低いと過食が止まらない理由と改善法で詳しく解説しています。
習慣②:感情日記 ── 「なぜ食べたいのか」を可視化する
感情食いのトリガーを知るための最強ツールが感情日記です。
やり方はとてもシンプル。「食べたい!」と思った時に、以下の3つをメモするだけ。
- いつ?(時間・状況)
- 何があった?(直前のできごと)
- どんな気持ち?(寂しい、イライラ、不安、退屈、疲れた…)
1週間続けると、パターンが見えてきます。「あ、私は仕事の後にいつも食べてるな」「日曜の夜が特に過食しやすいな」とか。
パターンが見えれば、対策が打てます。感情食いの引き金を見つける方法については感情食いのトリガーを特定する5つのステップで、具体的なワークシートも紹介しています。
習慣③:NEAT(非運動性活動熱産生)── ジムより日常の動き
「痩せるために筋トレしなきゃ」と思っていませんか?
理学療法士として言わせてもらうと、筋トレで基礎代謝はほとんど上がりません。
それよりもはるかに重要なのがNEAT(ニート)。これは Non-Exercise Activity Thermogenesis の略で、日本語にすると「運動以外の日常活動で消費するエネルギー」です。
歩く、階段を上る、家事をする、立って作業する。こういった日常の動きによるエネルギー消費は、筋トレの約5倍の効果があります。
そしてNEATの最大のメリットは、自律神経が整うこと。ちょっとした散歩でも、身体を動かすことで副交感神経(リラックスの神経)が活性化し、感情食いの衝動が自然と収まるんです。
具体的なNEATの増やし方:
- エレベーターの代わりに階段(1階分からでOK)
- 食後に5分の散歩
- テレビを見ながらストレッチ
- 買い物は少し遠い店まで歩く
- 料理中に音楽をかけて体を動かす
ハードな運動は不要です。むしろ、激しい運動はストレスホルモン(コルチゾール)を増やして食欲を増進させることもあるので、ゆるく・楽しく・日常に組み込める動きの方が感情食いには効果的です。
習慣④:「食べてもいい」の許可を出す
「え? 食べていいの?」
はい。「食べてもいい」と自分に許可を出すことは、感情食いを減らす上でとても大事です。
人間の脳は「禁止されたもの」をより強く求める性質があります。「お菓子は絶対食べない!」と決めると、逆にお菓子のことが頭から離れなくなる。
だから、こう考えてみてください。
「食べてもいい。でも、食べる前に30秒だけ自分に聞いてみよう」
「今、本当にお腹が空いている?」「それとも、何か感情を埋めようとしている?」
この30秒の問いかけだけで、衝動のピークをやり過ごせることがあります。衝動は波のように来て、去っていくもの。30秒待つだけで「あ、やっぱりそこまで食べたくないかも」と気づけることも多いんです。
そして、それでも食べたいなら、食べていい。罪悪感なく、味わって食べる。これだけで過食の量は確実に減ります。
習慣⑤:「完璧な食事」をやめる
感情食いに悩む人ほど、「正しい食事」を追い求めがちです。
- 「朝はプロテインとサラダ」
- 「糖質は○g以下」
- 「夜8時以降は食べない」
こういったルールをたくさん持っていませんか?
これ、全部手放してOKです。
太る食べ物・痩せる食べ物は、この世に存在しません。どんな食べ物も、「食べ過ぎれば太る」し「適量なら問題ない」。それだけの話なんです。
「完璧な食事」を目指すほど、食事に対する緊張感が増し、少しでもルールを破ると「もうダメだ」と投げやりになって過食する。いわゆる「どうにでもなれ効果」です。
それよりも大事なのは、「自分が満足する食事」を見つけること。お腹と心の両方が満たされる食べ方を、自分の身体に聞きながら見つけていく。これが本当の意味での「食欲コントロール」です。
過食を自力で改善していく方法については過食をやめたい…自力でできる5つの心理学的アプローチを読んでみてください。
食べ物への執着やとらわれから解放されたい方はこちらも参考になります:食欲のとらわれを克服する方法、食欲への執着を捨てる方法|我慢せず心から解放される5つのステップ
第5章:感情食いを根本から治すために ── 自己理解を深める
ここまでの習慣で、日々の感情食いはかなり楽になるはずです。でも、根本から変えていくには自己理解をもう一歩深めることが大切です。
「なぜ私は食べてしまうのか」を深堀りする
感情食いの裏には、必ず満たされていない心理的ニーズがあります。
- 安心感のニーズ:「大丈夫」と感じたい
- つながりのニーズ:誰かと一緒にいたい、認められたい
- 自己肯定のニーズ:「このままの自分でいい」と思いたい
- コントロールのニーズ:自分の人生を自分で決めたい
食べ物は、これらのニーズを一時的に満たしてくれます。甘いものを食べれば一瞬「ほっ」とするし、満腹感は一時的な安心感を与えてくれる。
でも、それは一時的なもの。本当にそのニーズを満たすには、食べ物以外の方法を少しずつ見つけていく必要があるんです。
感情食いの根本的な解決に取り組みたい方は感情食いを根本から治す対処法をぜひ読んでみてください。
自己肯定感を育てる ── 過食ループから抜け出す鍵
感情食いに悩む人のほとんどが抱えているのが自己肯定感の低さです。
「ダイエットも続けられない自分はダメ」「食欲もコントロールできないなんて情けない」──こういった自己否定が、次の過食を引き起こしています。
自己否定 → 不快感 → 過食 → さらに自己否定 → さらなる過食
このループから抜け出すには、自己肯定感を育てることが必要です。
自己肯定感は、何か特別なことをして「自信をつける」ものではありません。「今のままの自分を認める」こと。過食してしまう自分も含めて、「それでも私は大丈夫」と思えるようになること。
これは一朝一夕にはいきませんが、セルフコンパッションの練習を続けることで、少しずつ変わっていきます。
過食の心理的メカニズムを深く理解したい方はなぜ食べたい衝動が止まらない?過食の心理メカニズムと根本的な解決法もぜひ読んでみてくださいね。
第6章:よくある質問(FAQ)
Q. 感情食いを完全に「なくす」ことはできますか?
完全にゼロにする必要はありません。人間は感情の生き物ですから、たまに気分で食べることは普通のことです。問題なのは、それが唯一の対処法になっていること。食べ物以外にも「つらい時の逃げ場」を持てるようになれば、自然と感情食いは減っていきますよ。
Q. 過食してしまった後、何をすればいいですか?
まず、翌日に食事を減らそうとしないでください。これは制限→過食のループを強化します。過食の後は「つらかったね、大丈夫」と自分に声をかけ、翌日はいつも通りの食事をしてください。身体は1〜2日で自然に調整してくれます。
Q. カロリー計算をやめるのが怖いです。太りませんか?
最初の1〜2週間は不安になると思います。でも、カロリー計算をやめて身体の声に従った方が、長期的には適正体重に落ち着きます。カロリー計算は食欲をバグらせ、「脳が考える食事」になってしまう。身体は自分で必要な量を知っています。それを信じてあげてください。
Q. 糖質制限や16時間断食は効果がないんですか?
感情食いに悩んでいる人には逆効果です。極端な食事制限は身体を「飢餓状態」だと脳に認識させ、食欲のリミッターを外してしまいます。その結果、反動で過食が起こる。まずは制限をやめて「普通に食べる」ことから始めてください。
Q. 感情食いは病院に行った方がいいですか?
日常生活に支障が出ている場合(仕事ができない、人間関係が壊れている、嘔吐を伴うなど)は、心療内科や摂食障害専門の医療機関に相談してください。一人で抱える必要はありません。この記事の内容は、医療が必要なレベルに至る前の「自分でケアできる範囲」を対象としています。
Q. 果物は食べてもいいですか? 糖質が多いイメージがありますが…
果物は積極的に食べてほしい食品です。食物繊維、ビタミン、水分が豊富で、適度な甘さが心の満足感も与えてくれます。「果物=糖質が多い=太る」は誤解です。果物を食べて太ることはほぼありません。甘いものが欲しくなったとき、お菓子の代わりに果物を選ぶのはとても良い選択ですよ。
Q. 一人で改善するのは難しいです。どうすればいいですか?
一人で頑張れないのは「弱さ」じゃなくて「正常」です。人間はもともと一人で問題を解決するようにはできていません。信頼できる人に話を聞いてもらう、専門家のサポートを受ける、同じ悩みを持つ仲間とつながる。どれも有効な方法です。
まとめ:感情食いは「治すもの」ではなく「理解するもの」
ここまで長い記事を読んでくださって、本当にありがとうございます。
最後に、一番伝えたいことをまとめますね。
この記事のまとめ
- 感情食いは意志の弱さではない。心理・脳・ホルモンが起こす自然な反応
- 3つの原因:ドーパミンの報酬系、愛着パターン、感情処理の問題
- 愛着タイプによって対処法が違う。自分のパターンを知ることが第一歩
- セルフコンパッションが食欲安定の最大の鍵。自分を責めないこと
- 完璧を目指さない。カロリー計算・極端な制限は逆効果
- 小さな習慣から始める。感情日記、NEAT、30秒の問いかけ
感情食いは「治すべき病気」ではなく、「自分をより深く知るための入口」です。
食べたくなる衝動の裏には、あなたの心が本当に求めているものがある。寂しさ、安心、つながり、自己肯定。それに気づいて、少しずつ食べ物以外の方法で満たしていく。
一気に変わる必要なんてありません。今日、1つだけ。この記事で紹介した習慣のうち、1つだけ試してみてください。
あなたは、もう十分がんばってきました。これからは「がんばる」のではなく、「自分を大切にする」方向に進んでいきましょう。
理学療法士として、食欲コントロールの専門家として、私はそのお手伝いがしたいと思っています。
富永康太(理学療法士・食欲コントロールダイエット協会 代表理事)

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